ものつくる人々Vol.2 和歌山の山のてっぺんにある行列のできるパン屋さん
「ドーシェル」 和歌山県海草郡野上町釜滝417-3 tel
0734 89 5324
2004.7.8 最高気温35.4度 快晴
吹き出る汗を拭いながら阪神高速湾岸線を一路南へ、阪和自動車道に乗り継いで海南東インターで降り、
そこから上り坂を30分、「野上」の山頂を目指す。だだだ大自然 「ヤッホー」って感じやね。
360度山山山、空気うまー、でも暑うー。独り言をいいながら、約束の時間まで少しあるので、「ふれあい広場」で
すべり台をしたりブランコしたりして、時間を潰すことにした。
【プロフィール】 戸田 晶 1957年12月生まれ 豊中市中桜塚にある「メルク」でパン修行。その頃、杵屋の工場で製あんの一日体験をする。
30歳で独立。宝塚に天然酵母の「ドーシェル」をオープン。妻、恵以子さんと二人で10年間店を支える。阪神大震災と子供の成長を契機に
1998年故郷である和歌山県海草郡野上町釜滝に店を移転。テラスでランチを楽しめるゆとりの空間を作り、ドライブ客獲得に成功。
現在、6名ほどのホールスタッフと2名のパン職人と共に大忙しの毎日を送っている。
|
|
野上町山頂付近
バーベキューができるふれあい広場 |
店舗入り口 |
|
|
自家栽培のトマトを
オリーブオイルに浸して
オーブンでセミドライにする
戸田君 |
店長「ひさしぶりー。大盛況やんか。」
戸田 「この一週間、急に暑くなって、がた落ちですわ。」
店長「贅沢な。(笑い) 前の道はどこかに通じてるの?」
戸田「この先は別に何もないです。前の道ができたのもここ2年のことで、それまでは幅
3メートルほどのガタガタ道
やったんです。僕はその方が良かったんやけどね。まあでもお客さんは増えましたけども。」
普通の商売人でないことは確かだ。彼にとっては商売は二の次で、まずは生きていく環境が優先するのだ。
そんなユニークな彼をマスコミは放って置かない。ドーシェルは野上の山頂で一躍注目を浴びる存在となった。
戸田「みんなのお陰です。スタッフもそうですし、無理を聞いてくれた建築士の人、食材を提供してくれる
地元農家の皆さん、そして、一心同体に自分の目標についてきてくれた嫁さんの力がなかったらできんかった。」
|
|
あえてクーラーのない店内は
テラスから入る自然の風と天井旋で涼しい |
家族はあと、中二の娘さんと小五の息子さんの二人。
「大自然の中ですくすくと育てたい。」戸田君のもう一つの夢・・・こちらも大成功するはずだった。
だが、計算外の障害が家族を襲う。仕事場と住居の共存は子供たちにプレッシャーとなり、遠距離通学で友達といる
時間を奪いストレスを生んだ。都会に居るときには想像できなかった子供のSOSを深刻に受け止めた彼は、ついに
家族を下山させることを決意する。子供たちは元気を取り戻し、家族の絆は深まった。
|
|
ドーシェル自信のパン
あとで食べさしてもらった
トマトのピザパンは
「目からうろこ」 |
「目標にするお店はもうないですね。
このままこのスタイルでここでできるいろいろな事にチャレンジしていくだけですわ。」
将来は野菜やフルーツに加え小麦の栽培から製粉までのすべてをこの土地でやって行きたいと言う。
窓のないカフェテラスに座る戸田君の細めた眼差しをたどって行くと、
そこは和歌山の街並みと大阪湾の夕景が拡がり、さらにその先に四国の山々が誇り高く鎮座していた。
店長「うーん、ええ勉強や。」 戸田「はぁ?」 店長「恒例のギャグ。(笑)」
ものつくる人々 vol.1 vol.2 vol.3 vol.4
Copyright
(c) 2003 Kineyasuehiro All Right Reserved.
|