丹波篠山の風景黒大豆の枝豆畑
黒大豆の枝豆畑 |
枝豆畑のまん前にあるレストランでわたし達は前局長の原田さん
と、同姓の原田忠夫さん(74歳)とあいさつを交わした。緊張が走る。
わたしが世の中で最も尊敬する民人、「お百姓さん」だ。
もはや愛する豊中にはほとんど影の存在でしかなくなってしまった
人々。なんだか天然記念物にでも遭遇したかのような、頭を垂れて
拝みたくなるような貴重な出会いである。都会の子供達がこういう
人々を知らずに育つのは教育上健康的ではないとわたしは思う。
岩石のようなこのごつい手をみんなにに触らせてあげたい。
「みんなのご飯、作ってくれている手だよ。」 って。
「こんなかっこうですいません。」
仕事中に時間を割いてご足労願ったのに腰の低さにこちらが恐縮
する。 |
ところでこの丹波篠山の黒大豆が何故これほど発育が良く、ふっくらした大粒に育つのか。
海抜200メートルの篠山は四方を山々に囲まれ広大な盆地を形成している。この地形は山の土壌の栄養分を
低地にかき集めるような仕組みをつくり、大地を肥沃にした。また、盆地特有の気候で昼夜の寒暖の差の大きいことも
生育の好条件になっているという。
話が一区切りついたところで、わたしたちは原田さん達の軽トラに分乗して枝豆畑へ向かった。今年の夏は日照に
恵まれ、8割がた豊作が期待されていたが、8月下旬頃から連続して台風に見舞われ、一部作物が風で倒れる被害を
被る事になった。が、幾重にも張り巡らしたフェンスのお陰で、なんとか黒大豆の実りを救うことができたようだ。
原田さんがまるでお産の子を取り上げるように幸せそうに、葉っぱを掻き分けて、そのたわわの実りをわたしに見せ
てくれた。
|
|
たわわに実る房 |
後ろのネットは鹿除け |
|
「おお!! 枝豆。」
もう2,3日で出荷できるそうである。鹿よけのネットや猪よけの電線、暴風対策のフェンス、低農薬の害虫対策、そして
出荷の梱包、ほんとうにご苦労さんである。
代々、この土地でこつこつと農業を営んできた民人の素朴で頑強で、それでいてあらゆる生命に優しい精神に
わたしは日本人のあのかつて誇りにしていた「大和魂」を思い出すことができた。
もうすっかり忘れようとしていた「大和の魂」が時間とお金の渦巻く都会の喧騒から北摂の山を一つ、二つ越えたところで、
まだまだしっかりと根を張り、静かに伝承されているのだ。
丹波篠山黒大豆の枝豆が「うまい」理由はどうやらここにその本質があるい違いない。
ええ勉強でした、モグモグ。
|
左から原田忠夫さん、前局長
原田寛さん、
現局長 上元一泰くん わたし |
なお、お問い合わせご希望の方は・・・
生産者事務局 原田 寛 TEL079-557-0365 川西大和郵便局 TEL072-794-0500・・・まで。
ものつくる人々 vol.1 vol.2 vol.3 vol.4
Copyright
(c) 2003 Kineyasuehiro All Right Reserved.
|